「ほら、着いたぞ?」

外をボーっと眺めていたアタシは成宮さんの言葉で我に返った。

何も考えずにドアに手をかけた時、アタシは背後から抱き締められた。

「え...」

「薫...」

成宮さんの顔を見なくても、いくらバカなアタシでも成宮さんの切ない表情は感じとれた。


「なにかあったんですか...?」

恐る恐る聞くアタシを成宮さんはさらにきつく抱き締めた。

「薫が元気ねぇから」

「ほえ?」

「いつもみたいに俺の前で照れたり、変に惹かれる笑顔見せたりしねぇから。薫が元気ないのは俺のせい?」

その言葉でアタシの涙腺は崩壊。
今までのことをぐちゃぐちゃになりながらも話した。

涙でいっぱいの目で成宮さんを見ると、いつもの意地悪な笑みでアタシを見てた。

「ねぇ、薫?」

「はぃ...?」

しばらく成宮さんに見つめられてアタシの顔はゆでダコ状態。