「薫?」

「アタシ…決めたよ…」

「おぅ…それで薫の出した答えは?」

「アタシは太一が好き…」

静かな部屋にアタシの声だけが響く。
下を向いていたアタシの肩を誰かがそっと引き寄せた。


「じゃあ要、薫ちゃんはもらう」


その言葉と同時に唇を塞がれた。
持っていた携帯が鈍い音をたてて床に転がった。
初めてした太一とのキスは涙の味がしたんだ……

ねぇ、太一。
あの「好き」は嘘だったの?
アタシは太一が凄く好きだったよ。
あの一言を言われるまでは。