結斗へ向ける太一の視線が怖い。

「俺が薫ちゃんを幸せにする。薫ちゃん、要のこと好きじゃないでしょ?」

「え…」

太一にバレてた。
アタシの気持ちが要に向かれてなく、太一に少し向かれていたこと。

結斗の抱き締める強さがさっきより増す……

もしここで仮にアタシが要を選んだら?
もしここで仮にアタシが結斗を選んだら?
もしここで仮にアタシが太一を選んだら?


アタシが出した決断。
大事な結斗を傷つけたくない。
太一のことが好き。
出逢った瞬間から…

アタシは結斗からそっと離れて要の元へ走った。

みんながいる部屋のドアを勢いよく開けた。

「要!!」