アタシはどうしていいか分からなくなってその場に立ちすくむばかり。
しばらくするとアタシの携帯が着信を知らせた。

(090…)

知らない番号だった。
恐る恐る通話ボタンを押したアタシ。

「はい」

「薫?」


忘れもしない。
太一の声だった。


「今更…」

「え?もしもし?薫?」

「今更なによ!」

気づくとアタシは太一に怒鳴っていた。
今更、電話なんてしてほしくなかった。
こんなとき、成宮さんがいたら…
成宮さんは優しく宥めてくれたのかな?
なんて考えるアタシ。
自然とアタシの脳裏はあの日にタイムスリップされていく…