俺は成瀬を抱き寄せ、触れるだけのキスをした。


「ちょっ、何すんの!?」

「俺たち、両思いだぜ♪」

「は!?待って、確信はないって言った!」

「それ、好きって言ってるもんだぞ?」


俺がそう言うと、成瀬は顔を真っ赤にして俯いた。
俺は成瀬の頭を撫でる。
可愛いなと言うと、更に耳まで赤く染まる。
真っ赤じゃん!と笑いながら、成瀬の顔を見つめると、成瀬は熱があるから!と否定した。


「変わらないんだな、今も昔も♪自分達が少し大人になっただけで。ま、お前は記憶がないから仕方ないけどな!」

「夢とか廉が話してくれるから、思い出してきてはいるし」


俺たちは互いを見て笑った。
10年程前も、こうやって俺たちは笑ってたんだ。
幼かった俺たちは。
あの一夏だけ。