「本気で、言ってんの?」
「10年間の片思いだバーカ」
「…えぇ…」
俺は成瀬を腕から離す。
成瀬は俺の顔を見ながら動揺する。
俺も俺で結構恥ずかしくて、下を向いている。
「夢で見たんだけど…あたし達、あの一夏で両思いになってたんだ」
「え?」
「あたしは記憶がなかったから、あんたを好きだったことすら知らなかった。あんたはあの日からずっとあたしを好きでいたんでしょ?」
「おう…」
「あたしさ…今もあんたが傍にいなきゃ、また無表情になっちゃうよきっと。そう感じたんだよね」
「…それってお前…」
「確信はない。だけど、あたしはあんたが好きなのかもしれない」