HRが終わってすぐ、俺は成瀬の鞄と自分の鞄を持って保健室に向かった。
教室を出た矢先、誰に呼び止められた。


「あんた、士んとこ行くの?行くんだったら、これ持ってって」


声を掛けたのは、成瀬とよくいる女子三宅だった。
俺は頷くと三宅から、何かのノートを受け取る。
三宅は俺を見て言う。


「あんたさ、士の隣にちゃんといてやってよ。あの子、あんたが好きみたいだからね」


そう言うと、俺に背中を向け他の女子と廊下から姿を消した。
なんでそんなことを言ったのか、不思議に思ったが、傍にいるのは当然だしとボソッと口から零れた。