母さんが、昔まだ仕事をやってた時なんだけど、母さんの職業は看護士だったんだ。
だけど、あたしと郁が小学生になってから、母さんは体調崩すようになって。
それから癌が見つかって。
手術してもまた再発して。
最終的には去年亡くなったんだけど。
母さんはあたしが小学6年生のとき、あたしに言ったんだ。

『自分の好きな仕事に就けるかわからない。
今のこのご時世、就職先すらない人だっている。
もし仕事に就けても、自分が望む仕事じゃないかもしれない。
だけど、それはいいと思いなさい。
就けない人から比べたら、自分はお金を貰えて、働く場所も貰ってるんだから。
そのおかげで、自分の生活が出来るんだから。
自分の夢が叶わないと言って、何時までも逃げてちゃダメ。
夢はね、見るものじゃないの。
自分で叶えていかなきゃならないの。
だから、そのために出来ることを今からしときなさい。
たとえ、あなたがその将来夢みてる職業じゃなくても』