まだ持っててくれて嬉しいぜ♪と不良くんは柔らかい笑顔でそう言った。
そのあとの話で、あの手紙の送り主がこの不良くんで、あたしの頭に出てくる男の子も不良くんだと知った。
全てが話し終わる頃には、時計は午後1時を回っていた。
麦茶に入れていた氷も、全て溶けて無くなっていた。
コップから出ていた水滴が、テーブルにくっついて取れなくなるほど。


「…ゴメン。あたし、何にも覚えてなくて」

「は?そこかよ」


え?と顔を上げると、不良くん…いや廉は照れ臭そうに、普通は怒るとかしねーのと聞いてくる。
あたしは逆に怒ることなの?と聞き返してしまった。
そんな会話のやり取りをしていると、自然に場が和んで、会話が弾んだ。
廉にはいつもの笑顔が出てきて、あたしも釣られて笑ってしまう。