「士!早く学校行けよ!」
「もう行くから。留守番よろしく郁」
そう言って弟・郁(かおる)に急かされつつ、玄関のドアノブに手をかけ外へ出た。
外に出ると体を照りつけるギラギラの太陽がさんさんとしていた。
すぐに汗がジワジワと出てくる。
あたしは夏でも絶対に夏服を着ない派な為凄く暑い。
夏服着てても暑く感じるか。
なるべく日陰を通るようにして、あたしは学校へと歩き出した。
あたしは都内の私立高校に通う高校1年生、成瀬士。
今年の4月に入学した。
部活?部活は…生徒会。
バイト?バイトなんてしてないよ。
あたしは勉強する派だからね。
「士ー!おはよー☆」
後ろから勢いよく走ってくる女生徒。
あたしはその場に立ち止まり、走ってくる生徒をよく見てみる。
あたしは目が悪い為に、目を細めないと人が見えない、字が見えない。
眼鏡とかコンタクトあるけど、家で着けるのが面倒くさい。
「はあはあはあ…また、つけてないの〜?」
「…あぁ、蘭ちゃんか。おはよ」
「気付くのおっそ…!!」
息が上がってる蘭ちゃんをやっと至近距離で見て、本人だと気付く。
そんなあたしを呆れた顔で見る蘭ちゃん。
蘭ちゃんは乱れた制服を直し、息も整えて、一緒に歩き出した。
彼女は三宅 蘭(みやけ らん)。
陸上部に所属するボーイッシュな女の子。
1番最初に友達になった。