「そういえば、あんたん家って親仕事ばっかなんでしょ」
「なんで知ってんだよ」
「担任が言ってたよ。いつも1人なんて寂しいね」
「べつに慣れたし。お前はどうなんだよ。虐待とかされてねーの?」
2人で買ってきたパンを食べながら、家族の話をする。
俺はこいつ自身が俺の家族関係を知ってるのかと思ったが、なんだ担任に聞いたのか。
逆に聞かれたから俺は聞き返す。
成瀬は少し俯いて、ボソッと言った。
「あたしん家ね、両親死んでるの。父は事故で母は病気で去年亡くなってる。今は弟と2人暮らし」
一気に気まずい雰囲気になってしまった。
俺も俺で言葉が見つかんなくて、少し同様している。
成瀬も少し気まずいみたいで。
2人で黙り込む。
「ごめん…ってああ!!」
不穏な空気を壊すように、成瀬は大声を出し、腕につけてる時計を見て立ち上がる。俺は驚いてなんだよ!?と反射的に言うと。