「ちょっと、寝てると怒られるよ」
「ん…なに…」
「初日から居眠りなんて、度胸いいね」
は?と思いつつ、眠たい目をこすり体制を立て直す。
時計を見て自分が30分寝ていたことに気づく。
周りは真面目にノートをとっていた。
誰も寝ずに。
隣にいる成瀬士もだ。
ノートをとり、余裕が出来たら窓の外を見る。
よく寝ねぇよなぁふぁぁぁぁ。
俺は授業が退屈過ぎて眠くなっちまう。
ふと成瀬をじっと見ていると、右の頬に傷があるのを気づいた。
あの子と同じ大きさで同じ形の傷が。
俺は手を伸ばしその傷をなぞった。
そうすると成瀬はビクッとしてから、鋭い目つきで俺を睨みつけ、俺の手を叩いた。
「何するの。あんたいつもそうやって女に手ぇ出すわけ」
「昔、たった一夏だけ一緒に過ごした奴にもお前と同じ傷があったんだ。…その傷、お前も母親にやられのか?」
そう言うと、成瀬は目を丸くして驚いた。
まさに図星ですって言ってるみたいに。