「ずっと傍にいろバカ」

「…ずっと好きでいろバカ…」


士がボソッと言った台詞に対抗するように俺は言った。
士はアハハッと笑って俺の頬を、ツンツンと指で突っつく。


「照れてるー♪面白い!」

「は?!べ、別に照れてねぇし」


プイッとそっぽを向くと、士は俺の膝にのしかかってきた。
可愛いー可愛いー何回も連呼。


「でも、絶対傍にいてよ」

「わかってる。1人にしねぇから」


のしかかってる士の頭を、優しく撫でた。
1人になることを嫌う士。
ずっと俺といたから。


お互い悩み、お互い言い合って、お互い悲しんで。
まだ大人のなりかけの俺ら。
そんな俺らを晴れ渡った空から月は、照らしていた。
夏に入る少し前のこと。