俺は驚いて士の顔を見た。
士は笑ってるだけ。
ただ、俺の手を握る士の手に力が入ってるのはわかった。
ホントはこいつはイヤなんだ。絶対。


「ホントは…!ホントはイヤだけど、だけど廉の道はあんたが決めるんだから…」


手を握る力が徐々に強くなってくる。
下に俯く様子から、泣きそうなんだって直感する。
俺は頭をポンポンと叩いた。


「なんか、ゴメンな。いろんなことに、巻き込んで」

「ホントだよ…!あんたのせいでっ、高校から全部人生変わっちゃったじゃんバカ!責任とれバカ廉…っ」


ぽすっと俺の肩に士の頭が落ちてくる。
優しく撫でてやると、バカバカバカバカ!とバカの連呼。
はいはい、俺はバカですよーと苦笑する。