連れてこられたのは、小さな家。
父さんが言うには、出張でここに来てこの家を借りてるらしい。
まぁ1人ならこんな小さくていいよな。


「しつこいようだが…戻ってこないか」

「断る。あっちには戻らない」


リビングに入って、俺たちはテーブルを挟んで向かい合ってソファーに座っていた。
父さんは俺が即答すると、また深い溜め息をつく。
なぜだと呆れながら問う。


「俺には大切な奴がいる。それに俺は夢を叶えたいんだ」

「くだらん。恋人はいいとして、まだ諦めてないのかお前は」


その言葉に俺怒りを覚えた。
まだ諦めてないだと…?
ふざけんなよ。
俺は諦めないと言ったはずだなのになんで、そんなこと言うんだ…。
父さんの言うことは確かに、正論だ。
正論だけど、だけど俺の人生は俺のだ。
父さんに口出しされる必要はないんだ。
なのにまだ縛ろうとするんだ父さんは。
自分の欲望のままに。