「ん〜っうまい!やっぱ士の料理が1番♪」
そうあたしを煽てながら、郁はあたしが作ったカレーをパクパクと食べる。
何もでないからね?とクスッと笑い、郁がせっせと食べる姿を見ていた。
母さんが死んでからずっと、あたしが面倒見てきたたった1人の弟で家族。
廉には悪いけど、1番大切で掛け替えのない子。
あたしはこの子がいなかったら、悲しみで押しつぶされていただろうに。
『つかさないちゃダメ!ピース、ピース!』
母さんの亡骸が遺骨となったとき、あたしはその場で泣きまくって。
そんなあたしをまだ幼かった郁は、ずっと隣にいて慰めてくれた。
最初のうちは婆ちゃん達に、助けてもらいながらいたけど、あたしが大人になればなる程、この子をあたし1人で面倒見なきゃって思って。
この家に2人で暮らすようになった。
どんなときも、この子だけは一緒にいてくれた。
あたしは郁みたいに、執着はあまりないが郁がいなくなったら、壊れてしまうかもしれない程、大切な存在だ。