「士の料理久しぶりじゃーん♪」

「そうだね。今日はあたしが家事全部やるから、ゆっくりしてな」

「やっさしぃー♪」


郁はニヤニヤと笑いながら、テーブルの上にあるテレビのリモコンを取る。
テレビを付けてニュースを黙って見てる郁に対し、あたしは夕飯の支度。
今日は久しぶりだし、家族水入らずだから、郁の好きなカレーを作る。
その方が郁は喜ぶ。
後ろを振り返る度に、ニコニコする郁が目に入る。
あたしもつられて笑ってしまう。
ニュースから聞こえるキャスターの声を聞きながら、包丁を使ったり火を使ったり。
部屋に聞こえるのは、そういった音。


「てか、あんた彼女とか作んないの」

「いならい」

「は?あんた高校生なのに、いつまでも姉に引っ付いてるのはさ…」

「士に彼氏いんのムカつくけど、だけど士が幸せならそれでいい。多分彼女出来ても、士のこと考えちゃうしさ♪」


全くこのシスコン野郎…。
高校生だっていうのに姉ばっか考えやがってもう!
てか、ムカつくって何さ。
全く…このガキは…。