「ありがとね、廉」
「べつに。俺が泊まってる間、勉強教えられるし、一緒にいられる時間長くていいじゃん♪」
俺は士に向かってニコッと微笑んだ。
士の手をとり、恋人繋ぎをしてまた歩き始めた。
「あたし、廉が傍にいるから勇気持てるよ」
「俺も♪」
「挫折しそうになるけど、でも廉が声かけてくれるから…また頑張ろって勇気持てる」
「そっか。そっか」
うん!と俺の腕に抱き付く士。
昔はこんな風なことしなかったのに。
素直じゃなかったからな。
家路を士のペースに合わせながら歩いていると、前から走ってくる人影が見えた。
「…はぁはぁはぁ…士!遅い!」