「でもまあ、確かにうわの空になっちゃうくらい授業は退屈だよね」

 可穂が窓の外に視線を向けながら言った。
由希は、少し悩むように唸ってから言う。

「それもあるけど、純粋に空を見るのが大好きなんだよね」
「へえ?」
「うん。だってすごく綺麗だし、姿がころころ変わるのも好きで……特に今日みたいな青空は嬉しいな。なんか本当、現実味がないというか、なんだか夢みたいなんだよね」

 少し興奮したように語った由希に、可穂と舞は数秒間呆然として、それから同時に笑った。

「なんで笑うの二人して!」
「いやー、詩人だなと思って……」

 声を荒げた由希に、可穂が未だ笑いながら答えた。続けて、舞が言う。

「本当に好きなのね……」

 そこにもまだ笑いが含まれていて、由希は顔を赤くした。

「もう、知らない!」

 定番の文句を言うと、治まりかけていた可穂と舞の笑いがまたぶり返した。
そんな二人につられ、由希も、くすくすと笑い始めた。