「……正解だ」
教師が言うと、由希は安心したように息を吐く。
「お前はどうしていつもうわの空なんだ。理解しているのは結構だが、普段からもっと真面目にやりなさい」
「すみません……」
由希の小さな声に教師は頷いて、また次の生徒を名指しした。
その後の数十分間、由希は教材と黒板に注目し続けた。
チャイムが鳴り、四時限目――数学の授業は幕を閉じた。
由希が机の中に教材を仕舞い込み、鞄をごそごそと探る途中。
「由希ー!」
「お昼食べよ!」
背中に、二人の女子生徒が衝突した。
短髪で、高校生にしては小柄な可穂と、三つ編みにややふくよかな体型をした舞の二人組だ。
二人と由希を合わせたのが、いわゆる『仲良し三人組』だった。
いつものように豪快に誘いに来た可穂と舞に笑って、由希はチェックの水色のナフキンに包まれた弁当箱を掲げて見せた。
教師が言うと、由希は安心したように息を吐く。
「お前はどうしていつもうわの空なんだ。理解しているのは結構だが、普段からもっと真面目にやりなさい」
「すみません……」
由希の小さな声に教師は頷いて、また次の生徒を名指しした。
その後の数十分間、由希は教材と黒板に注目し続けた。
チャイムが鳴り、四時限目――数学の授業は幕を閉じた。
由希が机の中に教材を仕舞い込み、鞄をごそごそと探る途中。
「由希ー!」
「お昼食べよ!」
背中に、二人の女子生徒が衝突した。
短髪で、高校生にしては小柄な可穂と、三つ編みにややふくよかな体型をした舞の二人組だ。
二人と由希を合わせたのが、いわゆる『仲良し三人組』だった。
いつものように豪快に誘いに来た可穂と舞に笑って、由希はチェックの水色のナフキンに包まれた弁当箱を掲げて見せた。