あの日以来、俺は何かに理由をつけては彼女に近付きまくっている。


幸運にも、営業部と総務部は同じフロアーなので、部署が違っても自分のデスクから彼女の様子がよく見える。


どんな時も笑顔で仕事をする彼女は、会社のみんなから好かれていた。


さらに会社内だけにとどまらず、東京の本社や取引先でも評判がよく、自分の息子の嫁にと見合い話を持ってくる人もいるくらいだ。


大きな瞳のかわいらしい顔、守ってやりたくなるような華奢な体、誰にでも優しい性格ときたらそれも当然だろう。


なのに、当の本人には全くそういった自覚がない。
むしろ、自分のことを好きになる物好きなんていないなんていう始末だ。
(天然すぎるのもある意味罪だよなぁ)



彼女に俺の存在を誇示して、一人の男として頼ってもらえようになりたい。



俺の遅すぎる初恋が始まった。