-Nazuna side-
「えーーー!?」
昼休み。
キーンと、驚きに満ちた声が私の耳に届き、私は思わず自らの手で耳を塞ぐ。
「それって、ホントのこと?」
気性を荒くする梓ちゃんの勢いに圧されながらも、私は小さく頭を縦に振る。
すると梓ちゃんは、その微妙な動きをすぐさま感知し、「良かったじゃん!」と目を輝かせた。
「にしても、憐くんとなずなが両想いだったなんて。……なんだか嬉しい」
梓ちゃんは卵焼きを口へ放り込むと、しみじみとそう言う。
「いや、それがさ」
ある言葉が気になって、私は切り出す。
“両想い”
彼女の言ったそれは、現実とはかなりかけ離れたものだったから。
「好きなのは、私だけみたいなんだよね」
「は? 何それ」
「……いや、思い切って私のことどう思ってるのか訊いてみたんだけど、“さあ”って」