-Nazuna side-
そして迎えた文化祭当日。
今は2年3組の劇の終盤に差し掛かっていて、4組である私達の順番は、すぐそこへと差し迫っていた。
……ちゃんと、演じられるかな。
私にとっては初めての大きな舞台で、極めつけには主役という重要なポジション。
そんなプレッシャーに押しつぶされそうな私は、緊張と不安で頭が真っ白になりそうだった。
「皆、今まで練習してきた成果を出せば大丈夫だ。心から楽しもうぜ。」
薄暗い舞台裏。
クラスのメンバーの思いを1つに、私達は全員で円陣を作る。
……そうだよね、楽しんですればいいんだ!
なんて単純なこと。
だけど私は忘れていたんだ。
吉野くんの声に私はそうだと気付かされ、少し緊張が和らいだ気がした。