「……七海。今、笑っただろ?」


「わ、笑ってないよ!えっと……これ、ありがと!いただきます!」



クスクスと笑いをこらえながら言えば、じーっとあたしを見てくる空くん。

それにまた笑いそうになるのをこらえていれば、空くんは不意にもう一本、パックの飲み物を取り出して。



「そんなに笑う七海には、これをあげないでおこうか」


「あっ!それは購買に売ってる中で3番目に値段が高い、成長牛乳!なんでそれを…!」


「葉月に、“七海が身長伸びるかな~って言いながら飲んでたよ”っていうことを聞いて、からかうために」


「意地悪だ……!!」



空くんはさっきとは打って変わり、楽しそうな表情を浮かべると、あたしの手が届かない位置で、牛乳をプラプラと見せる。


あれはお値段が高いから、なかなか飲めないヤツなのに……。

あの位置じゃ、届かないよー!!