「それは七海に勉強会を手伝ってもらうためだよ」


「わぁっ！葉月！？」



いきなり耳元で囁かれた言葉に驚けば、葉月がニコッと笑いながらあたしを見る。



「私もさすがに陽向につきっきりはできないから、七海にも手伝ってもらわないと。でもタダでは申し訳ないと思って」



「だから空に来てもらったの」と、優しい笑顔を浮かべる葉月に、思わず後ずさりする。


葉月……。

今、あたしの心の中を読んだよね…。

賢いとは思ってたけど、まさかそんなことまで考えてたなんて……。

すごい策士だ……！！


チラッともう一度葉月の方を見れば、ニコッと返される笑顔。

その笑顔は「好きな人と勉強、頑張ってね」と物語っていて。



「七海ー？」


「は、はいっ！！」



突然呼ばれた名前に、あたしの体はビクッと揺れた。