「あの、葉月……なんのことかさっぱりなんだけど……」



あたしは靴を脱ぎながら、頭に「?」を浮かべて葉月を見る。

すると、玄関で待っていた空くんが、葉月の後ろから顔を出して。



「七海、よく耳澄ましてみろ」


「耳……?」



そう言われて、耳を澄ましてみれば、二階から微かに声が聞こえる。


……誰の声?


そして、首を傾げながらも、そのまま静かにしていれば。



「あーもう、わかんねぇぇ!!!」



そんな声が一階にまで響いた。