頬をふくらまして怒った顔をすれば、空くんは、ははっと笑う。

そして「ごめんごめん」と言うと、ガタッとイスから立ち上がった。



「ちょっとやりすぎだったな。ほら、今日はこのまま葉月んち行くから」


「え?葉月?」



空くんはそのまま本を棚へ戻すと、スタスタとドアまで歩いて、あたしの方へ振り替える。

それに慌てて後を追うと、空くんは再び歩きだして。



「葉月の家って……今日はバスケしないの?」


「まぁ、行ったらわかる。バスケどころじゃないってことが」



あたしの歩幅に合わせて歩いてくれる空くんを見上げて聞けば、空くんはフッと遠い目で笑う。

それに首を傾げれば、「まぁまぁ」と言いながら、また頭をポンポンと叩いて。



「今日はこれから地獄だ」


「……!?」


あたしの首は、ますます傾いた。