「……え?」



驚きで一気に引っ込んだ涙。

思わず隣を振り向けば、本を閉じた空くんがクスクスと笑いながら、あたしの頭をなでていて。



「前から思ってたけど、七海って“うん”と“そう”で返事できる質問ばっかり」


「へ……?」


「いつになったら、ちゃんと文で答えられる質問くるのかなーって待ってみても、全然変わんないし。仕舞いには拗ねるし?」



空くんはそう言うと、「七海は国語もダメかもな」なんて、笑ってあたしを見る。

あたしはというと、ポカンとしたまま、徐々に恥ずかしさから、顔が熱くなっていって。



「わ、わざとだったの!?」


「わざとなんて言い方しねぇの。七海の国語力チェックとでも言ってくれない?」


「い、意地悪だ……!!」