少ない情報からの、瞬時な名推理に笑顔を返せば、空くんは呆れたようにため息をつく。



「オレンジも黄色と似てるんだからそれでいいじゃねぇか…」


「オレンジは男っぽくないから嫌なんだって。
それと、黄緑色は両想いになれるようにっていう願掛けみたいだよ」


「…普段バカなくせにこういうときだけ細かいな……」



空くんはそう言うと、呆れた表情のまま、陽向くんを見る。

まぁ、たしかに…よくそこまで考えがいくなって思ったよ。

それだけ葉月が好きってことなんだろうな……。


思わず感心していると、不意に空くんがあたしへと視線を移す。

突然絡まった視線にドキッとすれば、空くんは不思議そうに首を傾げた。



「で。七海はそれを知りつつも、緑にしてあげないのはなんで?」


「だって、陽向くんは、どうしてもオレンジにしか考えられなくて……。でも、さすがに葉月のことを聞いたときから、日記では緑だよ?」



そう言って、「ほら」と緑色のペンを取り出せば、空くんは少し考える仕草をして。



「……そのことを陽向には?」


「……あっ、言ってない!!」



あたしがそう叫べば、「やれやれ」とため息をつく空くん。

あたしは慌てて、未だに放心状態の揺さぶると、日記のことを伝えた。

すると陽向くんは安心したように笑って。