「……七海、大丈夫?」




神社の目の前まで来た頃。

集合場所にしている入り口から少し離れたところで立ち止まったかと思えば、葉月に心配そうに顔を覗き込まれる。

腕をにぎったままだった手は、葉月の手に優しく包まれて。


ドキンドキンと、緊張から鳴る胸は、これ以上ないほど、大きな音をたてる。


怖くて不安で、逃げたくて。

できることなら、このままここで、花火大会が終わるまで待っていたいくらい。


でも、もう決めたことだから。

今日、ちゃんと言うって決めたから。



「……うん、大丈夫」




顔を上げて、葉月に微笑んでみせる。

すると、葉月はホッとしたように笑って。



「……じゃ、行こっか!」


「うんっ」



明るく言った葉月の声に、あたしも同じように頷き返す。

そして再び歩き出そうとしたならば。



「葉月にななみん、みーっけ!」



そんな声が突然聞こえた。