「それじゃ行こっか、七海!いざ、決戦の地へ!」



そんな陽向くんの想いなど知るはずもない葉月は、楽しげにそう言うと歩き出す。

あたしは慌てて葉月の後を追って。


神社に近づくにつれて、多くなっていく人。

それに比例するように、あたしの緊張も高まっていく。


もうすぐ神社についちゃう……。

空くんたち、もういるのかな……?


ドキドキと、次第に大きくなっていく胸の音。

無意識のうちに、片方の手でギュッと葉月の腕をつかんでいて。

もう片方の手では、淡いピンクの浴衣には合わない、藍色と水色の髪留めに触れていた。


あたしの、安心できる空間。

隣には、葉月。

自身にはお守り代わりの、髪留めをつけて。


家を出るときに、何度もお兄ちゃんに、「その色は合わないから」と言われた髪留め。

でも、今日はこれナシになんてやってられない。

お兄ちゃんは何気なくくれたんだろうけど、あたしにとったら、大切なお守りなんだから。