「……頑張ってね。応援してるから!」



顔を上げてそう言うものの、あたしの頭には引っかかるものがあって。

陽向くんと結んだ、片想い同盟の規約、その3。


“できるだけ早く、この同盟から抜けること”


これは、早く両想いになって、片想いから卒業しよう、というもので。


葉月は陽向くんのことが好き。

つまり、陽向くんが告白すれば、よっぽどのことがない限り、二人は晴れて恋人同士になるわけで……。



そう考えると、少しの心細さと、自分の弱さに対する苛立ちで、なんともいえない気持ちになる。

そのせいか、笑ったはずの顔が、少しだけ引きつって。



「……ななみん……」


「あっ……ごめん、なんでもないから……」



そんなあたしを見て、陽向くんが真剣な瞳を向けてくる。

それに慌てて笑い返してみるものの、もう手遅れで。

陽向くんはスッと腕を伸ばしてきたかと思うと、ガシッとあたしの肩をつかんだ。