「………っ」



怖くて、思わずつかんだ葉月の腕。

すると葉月がすぐに振り返って。



「……陽向」


「ん?……あ、りょーかいっ」



葉月がトンッと陽向くんの肩を叩けば、ニッと笑った陽向くん。

そしてあたしの方へと向いたかと思えば、「こっち来て」と言われて。



「へ?ひ、陽向くん?どこ行って……」



陽向くんはズンズンと体育館の端の方へ歩いていくと、壁にあるドアの前で立ち止まる。

“なんだろう?”と首を傾げれば、陽向くんはそのドアを開けて。



「はいはーい、ななみん、早く入った入った!」


「え?えっ、え?」



そう言われて入ったのは、バスケットボールやマットなどが置かれた倉庫。

そこに隠れるように入ると、陽向くんはドアの隙間から、体育館の様子をうかがうように覗いた。