「……七海のその髪留め、綺麗だな」


「え……」



その言葉に顔を上げれば、空くんがフッと笑いながら、あたしの方を見ていて。



「水色と藍色のグラデーションが光に当たって綺麗。その色見てたら、七海にイメージカラー聞いたときのこと思い出す」



そう言って、優しい笑みを浮かべた空くん。

それだけで、胸の奥がキュッと締め付けられて。


そうだ……。

お兄ちゃんが、“好きな人に振り向いてもらえるように”って……。

オシャレ、頑張ろうって、買ってくれたのに……。

あたしがこんなんじゃ、ダメだよね……。


そのとき、カサッと手に当たった一枚の紙。

なにかと思えば、それは花火大会の広告で。

昨日、家に帰ったらお兄ちゃんに、「皆で行ってきたら?」と渡されたもの。


……これなら……。


キュッと唇を結ぶ。

そしてパッと顔を上げると、あたしは真っ直ぐに空くんを見つめた。