「あ………」



行き場を失った、言いかけた言葉。

“隣に座っていいの?”

たったそれだけの言葉が、すぐに出てこない。


なんで……言えないの。

たった一言なのに……。

空くんから、言ってくれたのに……っ。


いつからこんなに、臆病になったんだろう。

好きが大きくなればなるほど、うまく気持ちを伝えれられない。

言いたいことが、言えない……。


空くんがシャーペンをノートに走らせる音だけが、静かに響いて。

震える唇をかみ締めて、どうしようもない想いを抱えながら、あたしもカバンから課題を出す。

俯きながらページをめくる音は弱々しくて。

思わずギュッと目をつむれば、不意にシャーペンの音が止まった。