「……そうだね。早く二人とも、幸せになってくれたらいいのにね」



そう言いながら、ガタンと引いたイスは、空くんの正面。

そこにストンと座ると、やっぱり寂しさを感じて。


隣に座りたいけど……勇気が出ないよ……。

あそこはもう……茉莉花ちゃんの位置のようなものだし……。


そんなことを考えれば、不意に頭に浮かぶ、片想い同盟。

それの“その2”の項目が、頭の中をグルグルと回って。


“好きな人には積極的に”って、陽向くんと決めたのに……。

あたしってば、段々、臆病になっていってる気がするよ……。

積極的って、簡単なことじゃないね。

遊園地に行った頃が、なつかしいよ……。

あのときは緊張しながらも、ちゃんと髪型似合ってるか、聞けたんだよね。


そのときに、恥ずかしいにも関わらず、「可愛い」って言ってくれた空くん。

その言葉のおかげで、苦手なヘアアレンジも頑張ってこれた。

そっと髪飾りに触れる。

せっかくお兄ちゃんが買ってくれたのに、あたしはなかなか一歩が踏み出せなくて。