自分の不甲斐なさに、思わずシュンとする。

すると、そんなあたしを見たお兄ちゃんは「気にしなくていいって言ってるのに」と言って。

なにかいいことを思いついたのか、「それじゃあ」と明るく言えば、楽しそうな笑顔で、顔をのぞきこんできた。



「それを買ってあげた代わりに、七海はヘアアレンジ頑張って?」


「へ……?」


「やっぱり、自分の仕事に関することに興味持ってもらえたら嬉しいから。それに、オシャレした方が、好きな相手にも振り向いてもらえるかもよ?」


「えっ……」



“好きな相手”


その言葉が頭に残って、ポッと頬が熱くなる。

驚いてお兄ちゃんを見れば、全てお見通しのように、ニコニコと微笑んでいて。



な、なんでわかって……。

あたし、お兄ちゃんに空くんの話なんて、したことないのに…。