「あ、開いてた開いてた。閉店ギリギリ」



お兄ちゃんの服のすそをつかみながら、とぼとぼと歩いていけば、すぐに着いたひとつの店。

お兄ちゃんはまだ明かりのついた店内を見ると、楽しそうに笑って。



「ほら、七海も入って」



そう言うと、グイッと背中を押されて、お店の中へと入る。

そこには、キレイで可愛い髪留めや、アクセサリーなどがたくさん置いてあって。



「……可愛い」


「でしょ?七海、最近髪のアレンジとか頑張ってたから。ゆっくり見てていいよ」



お兄ちゃんはニコッと笑うと、いきつけなのか、近くにいた店員さんと話し始める。


お兄ちゃん美容師だから、可愛いお店もいっぱい知ってるんだなぁ……。

仕事帰りで疲れてるのに、こんなところに連れてきてくれて……。