「うわ……全然気づかなかった……」


「お母さんってば、心配性……」



二人そろってケータイを覗いて、クスクスと笑う。

お兄ちゃんはすぐに返信すると、ニコッと笑ってあたしを見て。



「七海、わざわざありがと。制服のままってことは、帰ってすぐだったでしょ?」


「ううん、平気……」



あたしがそう言いかければ、ポンッと頭に置かれた手。

それに驚いて顔を上げれば、お兄ちゃんは優しく微笑んで。


……空くんと一緒だ……。

空くんも、いつもこうやって頭に手、置いて……。



たった数日しかたってないのに、懐かしい感覚。

それだけで、我慢していた気持ちが溢れてきて。