「お母さんってば、強引なんだから……。お兄ちゃんだって、もう働いて、子供じゃないのに」



そんな呟きと共に、歩くこと数分。

見えてきた美容室からは、ちょうどお兄ちゃんが出てきて。



「あ、お兄ちゃん!」


「へ…?あ、七海!」



小走りで駆け寄ると、お兄ちゃんが驚いた表情であたしを見る。

それにお兄ちゃんもお店の中に向かって声をかければ、駆け寄ってきて。



「どうしたの、七海。もう暗いのに危ないでしょ?」


「お母さんが、海斗から連絡ないから見てきてーって」



あたしがそう言うと、お兄ちゃんは「あっ」と思い出したように、ポケットからケータイを出す。

そしてメールを確認すれば、そこにはお母さんからのメールが3通たまっていて。