「あ、ごめん、七海……。えっと、この子は……」



空くんは曖昧な笑みを浮かべると、抱きつく女の子をそっと引き離す。

すると女の子は、ハッとあたしに気づくと、驚いた表情をした後、すぐに空くんの後ろに隠れて。



「あ……えっと、その……い、泉…茉莉花、です……。は、はじめまして…」


「え、あ……白崎七海です。はじめまして、茉莉花ちゃん」



恐る恐る話す茉莉花ちゃんに、ズキズキと痛む胸をこらえて、なんとか微笑む。

あたしがそう言えば、茉莉花ちゃんは不安そうにしながらも、おずおずと空くんの後ろから出てきて。


白い肌に、細い手足。

あたしよりも高いけど、葉月よりは低い身長。

腰まで伸びた、色素の薄い綺麗な茶髪は、ふわふわと揺れて。

葉月を“美しい”とすれば、茉莉花ちゃんは“可愛い”がピッタリな、そんな子で。




「ごめん、七海……。コイツ、ちょっと人見知りでさ」



空くんの申し訳なさそうな声に、「そうなんだ」と笑顔を返す。

その間も、ずっと胸は不安と痛みでいっぱいで。