「な、なんですか……」



急に不機嫌になった空くんに、つい口調が敬語になる。


あたし、なにか言ったっけ……?

もしかして、あたしがどうしようもなくて呆れられてるとか……!?


不安でドキドキと鳴る胸に、思わず胸の辺りのシャツをギュッとつかむ。

少し泣きそうになりながらも、見つめた空くんはムスッとしていて。



「七海は七海だろ。葉月が二人いられたら困る」


「え……」


「葉月が二人なんて、まず陽向がうるさいし。葉月は葉月で、落ち込まれたら、またこの前みたいになるし。勘弁してくれって感じ」


「えぇ?」



空くんはそう答えると、話しながらも、どんどん嫌そうな顔をしていって。


うわぁ……苦労人だな、空くん……。

でも、あたしが怒られたんじゃなくて、一安心、かな…?