容易に頭に思い浮かぶ空くんの苦労を思うと、「ははは…」と乾いた笑いがこぼれる。

そんなあたしを見て、空くんは「はぁ…」と、またため息をつくと、ポンッとあたしの頭の上に手を乗せた。



「やっぱ俺、七海みたいに、分かりやすい単純おバカの方が好きだわ」


「えぇっ!?」


好きって……!?



唐突にそんなことを言い出す空くんに、ドキッと胸が音をたてる。

“単純おバカ”という言葉が引っかかるものの、好きな人に、“好き”と言われただけで、それは十分嬉しくて。

頬がじんわりと熱くなるのが、すぐにわかった。



「陽向も普段はわかりやすいんだけどな……。葉月が絡むと、予想以上すぎて意味わかんねぇ行動するし……」


「えっ?あ、あぁ……陽向くんなら、ありえるね」


「だよなー……って、七海?顔、赤くね?もう日焼け?」



空くんはそう言うと、かがんで顔を覗き込んでくる。

その距離が近くて、また頬に熱が集まれば、ピンッとおでこを指ではじかれた。