「葉月?大丈夫?」



とりあえずカバンを置いて、近くのイスに座る。

声をかけながら覗き込んだ葉月の顔は、半泣き状態で。


ここに来るまでに、陽向くんに会わなくてよかった……。

これで会ってたら、間違いなく、あたしが怒られるよね……。



「葉月、自分がわからないって……何かあったの?」



なるべく下手に刺激しないように、ゆっくりと問いかける。

すると葉月はふるふると首を横に振って。



「……陽向が……」


「陽向くん?」


「陽向が……観覧車……」



ぼそぼそと、呟くように言う葉月。

相槌を打ちながら静かに聞けば、そこで言葉は止まって。