「お買い物~♪」


バスに乗って最近できた大型ショッピングモールに向かう。


部屋着から着替えた啓ちゃんは、襟の白いギンガムチェックのシャツに黒いカーディガン。

細身のパンツにコンバース。

それにリュックをしょって…



もう、かわゆい!



「啓ちゃんはメガネするの初めて?」

「うん!かけたことない」

「そっか。あたしはコンタクトだから、家ではメガネ」

「あ、そうだよね!俺、美園のメガネ姿みたことないや」

「みなくていいよ…」

「見たいよ!なんていうの?優等生風な美園とか…うん」



啓ちゃんがウンウンと頷きながら、右斜め上を見ている。


「おーい、啓ちゃーん…?」


もしかして、あたしの妄想癖うつっちゃったかも!?



「えへへ、着いた!いこ!」

「あっうん!」



啓ちゃんに手をひかれて、慌てて席から立ち上がった。

スマートに啓ちゃんが二人分のバス運賃を料金口にちゃりんと入れてくれた。


「えっ、啓ちゃん…」

「いいから早くいこっ」


にこっと笑って、バスの運転手さんに「ありがとうございましたあー」の一言。



やだ啓ちゃん、紳士!



あたし達は、手をつないだまま、バスを飛び降りた。