今日アンが狙う商品はただ一つ。ハムカツサンドのみである。


ベテラン全てがそうであるように、アンもまた長いカウンターのどの辺りに何がま陳列されているかを熟知している。


ハムカツサンドは中央やや右手である。アンはまっすぐそこを目指した。


カウンターに向かう人の群れに混ざればアンにも情け容赦ない攻撃がとんでくる。


まともに喰らえばタダでは済まないだろう。


だがアンは攻撃を受けはしないし反撃もしない。


彼女には彼女のやり方があるのだ。