考えるより先に体が動いていた。
セラヴィの胸に光矢が当たったのが見えた。
浮いていた体がすー・・と下に降りていく。
落ちたシャンデリアの破片が飛び散りがれきが散らばる床を避けながら必死に進む。
地に落ちたセラヴィに敵が迫って囲み込むのが見える。
ぐったりと蹲った体にゆっくりと腕が上げられ掌が向けられる――――
「止めて!!お願い!駄目!」
その方はこの世界にとって大事な方なの!駄目なの!
ありったけの声を出して叫ぶ。
私なんかよりも、ずっと、大事なお方なの!!お願い―――!
叫び続けていると、敵の一人がこちらを向いて掌を向けてきた。
他のヒト達は、セラヴィに何か話しかけているように見える。
「これは、これは。黒髪の姫様は気丈にお美しく。お会いでき大変光栄で御座います。貴女様も、じきに送って差し上げますからご心配なきよう」
敵の一人が近付いてくる。
後退りをして逃げるけれど、がれきに邪魔されて上手く動けない。
「ちょろちょろ動かないで頂けますか。狙いが、狂います」
――パシン―――
横にある大きながれきに光矢が当たった。
足が、竦む。
動けない。
悔しい、このまま、やられてしまうの?
目をギュッと閉じて体を固くしたら「ぎゃぁぁ!」と叫ぶ声が聞こえてきた。
光矢は届く気配が全くない。そっと目を開けると、ヒインコが敵の目を嘴で突いていた。
「ぐぅぅ・・・この!この!」
やみくもに手を振り回し続ける敵の手を交わし続けて攻撃をするヒインコ。
とうとう振り回す手が当たってしまい、飛ばされ床に叩きつけられた。
目を押さえた敵がぐったりと横たわるヒインコに向かって掌を向ける。
「く、この鳥が――――」
「止めて!!!」
駄目!叫びながら止めようと手を伸ばしたその向こうに、それは、来た。
―――ウォン・・・ガルルルルゥ・・ウー―――
鳴き声と唸りが聞こえ疾風の如くに現れたブラウンの美しい獣が飛びかかり、攻撃をしかける敵の腕をがっちりと噛んだ。
再び叫び声をあげてよろめく敵は、痛みに震えながらも自らの腕に向かって光矢を放つ。
素早く察知してぱっと離れた獣は、ヒインコを護るようにして敵との間に立った。
体から、黄色がかったブラウンの気がゆらゆらと立ち上る
唸り声、美しい毛並み、大きな耳に大きな口、ふさふさのしっぽ。
この姿は―――――
―――シュン―――
風を切る音が聞こえ、黄金色の残像が見えたかと思えば、目の前で敵が二人呻き声をあげて蹲っていた。
「油断するな、ザキ」
「ち、油断なんざしてねぇよ」
ザキは、倒れてるヒインコを大切そうに咥えて背中に乗せた。
「ザキ、なの・・・そのコは大丈夫なの?」
「気失ってるだけだろ・・すぐに目が覚めるぜ」
「・・遅いですよ、王子様・・・おかげで私はへとへとです」
背後からアリの疲れた声がした、この狼は、やっぱり・・。
「バル・・・貴方はバルなの・・?」
「あぁ、民の誘導を手伝い、各方面に指示をしていたら遅くなった。―――しかし、こんなことになっているとは―――すまん、怖い思いをさせた」
「バル・・・お願い、セラヴィが・・・セラヴィが」
セラヴィの胸に光矢が当たったのが見えた。
浮いていた体がすー・・と下に降りていく。
落ちたシャンデリアの破片が飛び散りがれきが散らばる床を避けながら必死に進む。
地に落ちたセラヴィに敵が迫って囲み込むのが見える。
ぐったりと蹲った体にゆっくりと腕が上げられ掌が向けられる――――
「止めて!!お願い!駄目!」
その方はこの世界にとって大事な方なの!駄目なの!
ありったけの声を出して叫ぶ。
私なんかよりも、ずっと、大事なお方なの!!お願い―――!
叫び続けていると、敵の一人がこちらを向いて掌を向けてきた。
他のヒト達は、セラヴィに何か話しかけているように見える。
「これは、これは。黒髪の姫様は気丈にお美しく。お会いでき大変光栄で御座います。貴女様も、じきに送って差し上げますからご心配なきよう」
敵の一人が近付いてくる。
後退りをして逃げるけれど、がれきに邪魔されて上手く動けない。
「ちょろちょろ動かないで頂けますか。狙いが、狂います」
――パシン―――
横にある大きながれきに光矢が当たった。
足が、竦む。
動けない。
悔しい、このまま、やられてしまうの?
目をギュッと閉じて体を固くしたら「ぎゃぁぁ!」と叫ぶ声が聞こえてきた。
光矢は届く気配が全くない。そっと目を開けると、ヒインコが敵の目を嘴で突いていた。
「ぐぅぅ・・・この!この!」
やみくもに手を振り回し続ける敵の手を交わし続けて攻撃をするヒインコ。
とうとう振り回す手が当たってしまい、飛ばされ床に叩きつけられた。
目を押さえた敵がぐったりと横たわるヒインコに向かって掌を向ける。
「く、この鳥が――――」
「止めて!!!」
駄目!叫びながら止めようと手を伸ばしたその向こうに、それは、来た。
―――ウォン・・・ガルルルルゥ・・ウー―――
鳴き声と唸りが聞こえ疾風の如くに現れたブラウンの美しい獣が飛びかかり、攻撃をしかける敵の腕をがっちりと噛んだ。
再び叫び声をあげてよろめく敵は、痛みに震えながらも自らの腕に向かって光矢を放つ。
素早く察知してぱっと離れた獣は、ヒインコを護るようにして敵との間に立った。
体から、黄色がかったブラウンの気がゆらゆらと立ち上る
唸り声、美しい毛並み、大きな耳に大きな口、ふさふさのしっぽ。
この姿は―――――
―――シュン―――
風を切る音が聞こえ、黄金色の残像が見えたかと思えば、目の前で敵が二人呻き声をあげて蹲っていた。
「油断するな、ザキ」
「ち、油断なんざしてねぇよ」
ザキは、倒れてるヒインコを大切そうに咥えて背中に乗せた。
「ザキ、なの・・・そのコは大丈夫なの?」
「気失ってるだけだろ・・すぐに目が覚めるぜ」
「・・遅いですよ、王子様・・・おかげで私はへとへとです」
背後からアリの疲れた声がした、この狼は、やっぱり・・。
「バル・・・貴方はバルなの・・?」
「あぁ、民の誘導を手伝い、各方面に指示をしていたら遅くなった。―――しかし、こんなことになっているとは―――すまん、怖い思いをさせた」
「バル・・・お願い、セラヴィが・・・セラヴィが」