「―――今頃に、気づいたのですか」
「いえ、以前から・・」
背後から体が抱えられて視界が揺らいだあとすぐに、光矢が飛び交いセラヴィが攻撃しながら飛び回る姿が映った。
「・・そう、思ってました――――どうか、貴女様の思うがままに・・・」
「ありがとう、アリ」
・・・でも。
どうしようかしら・・・。
それに、ヒインコは何処にいるの?
まさか・・・。
嫌な予感がして急いで広い会場の中を探すと、天井近くの隅を紅いものがパタパタと飛び回っていた。
「こっちにおいで」
声が届くかもわからず駄目もとで呼びかけると、気付いたらしく此方に近付いてきてくれた。
「良かった・・無事だったのね・・」
手の甲に止めて頭を撫でてあげると嬉しそうに一声囀った。
肩に移動させて、これからどうするかを考える。
セラヴィは加減して攻撃してるけど、敵の腕や足を痛めさせて活動を停止させている。
あの敵がもっと減れば良いんだわ。なんとか・・・。
・・そう、だわ・・・!
アリの顔をじっと見つめる、いいことを思いついた。
「・・・無茶なお願いだと分かってるけど、貴方、あの動きまわってる敵さんを一人ずつ外に運んでもらえないかしら」
貴方なら出来るでしょう?と訊ねたら、端正な顔を顰めて一瞬息を詰めた様子のアリは首を傾げて考え込んだ。
「―――っ、貴女様は、随分怖ろしいことを仰いますね・・・そう、ですね、奇襲が通じるのは一人、二人・・・それ以上は無理でしょう。気付かれますし、これも限界があります。やってみますが」
そう言い終わるか終らないかのうちにアリの体が消え、敵の一人の背後に現れ抱え込みすぐに消えた。
すぐ隣にいた敵が気付き、消えたその場を凝視している様子が見てとれる。
アリがそれを幾度か繰り返し、隣に戻って来た時にはかなりの人数が減っていた。
「・・・これ以上は、出来ません」
「ありがとう、アリ。疲れたでしょう、隅で休んでると良いわ」
普段から“私は頭脳派だ”と言ってたけれど、精一杯やってくれた。
それでもまだ敵はいるし、倒れていたヒトが起き出して来ていた。
これじゃキリがない。
セラヴィも疲労の色が濃くなってきてるわ、何とかしないと。
どこか遠くの方で獣の鳴き声がしているようで、微かに耳に届いてくる。
アリがそれに反応して応えるのが聞きながして、咄嗟に口を手で覆う。
「――――っ」
声にならない息が、漏れた。
「いえ、以前から・・」
背後から体が抱えられて視界が揺らいだあとすぐに、光矢が飛び交いセラヴィが攻撃しながら飛び回る姿が映った。
「・・そう、思ってました――――どうか、貴女様の思うがままに・・・」
「ありがとう、アリ」
・・・でも。
どうしようかしら・・・。
それに、ヒインコは何処にいるの?
まさか・・・。
嫌な予感がして急いで広い会場の中を探すと、天井近くの隅を紅いものがパタパタと飛び回っていた。
「こっちにおいで」
声が届くかもわからず駄目もとで呼びかけると、気付いたらしく此方に近付いてきてくれた。
「良かった・・無事だったのね・・」
手の甲に止めて頭を撫でてあげると嬉しそうに一声囀った。
肩に移動させて、これからどうするかを考える。
セラヴィは加減して攻撃してるけど、敵の腕や足を痛めさせて活動を停止させている。
あの敵がもっと減れば良いんだわ。なんとか・・・。
・・そう、だわ・・・!
アリの顔をじっと見つめる、いいことを思いついた。
「・・・無茶なお願いだと分かってるけど、貴方、あの動きまわってる敵さんを一人ずつ外に運んでもらえないかしら」
貴方なら出来るでしょう?と訊ねたら、端正な顔を顰めて一瞬息を詰めた様子のアリは首を傾げて考え込んだ。
「―――っ、貴女様は、随分怖ろしいことを仰いますね・・・そう、ですね、奇襲が通じるのは一人、二人・・・それ以上は無理でしょう。気付かれますし、これも限界があります。やってみますが」
そう言い終わるか終らないかのうちにアリの体が消え、敵の一人の背後に現れ抱え込みすぐに消えた。
すぐ隣にいた敵が気付き、消えたその場を凝視している様子が見てとれる。
アリがそれを幾度か繰り返し、隣に戻って来た時にはかなりの人数が減っていた。
「・・・これ以上は、出来ません」
「ありがとう、アリ。疲れたでしょう、隅で休んでると良いわ」
普段から“私は頭脳派だ”と言ってたけれど、精一杯やってくれた。
それでもまだ敵はいるし、倒れていたヒトが起き出して来ていた。
これじゃキリがない。
セラヴィも疲労の色が濃くなってきてるわ、何とかしないと。
どこか遠くの方で獣の鳴き声がしているようで、微かに耳に届いてくる。
アリがそれに反応して応えるのが聞きながして、咄嗟に口を手で覆う。
「――――っ」
声にならない息が、漏れた。