―――クリスティナ・・・



クリスティナ・・・―――



聞き覚えのある声・・・。


これは、誰・・・?


・・貴方は、誰を呼んでいるの―――?



――チチチ・・・チュン・・チュン



小鳥のさえずりが聞こえてくる。



・・・夢、見てたみたい


何だかとても嫌な夢を・・・




徐々に意識が覚醒していく。

瞼の向こう、薄明るい気配がする。

もう、朝なのね。


もうすぐリリィが起こしに来る頃―――



頬に触れるのはふかふかのクッション。

いつもの感触。

だけど、何かが違う気がする。



コツコツと部屋の中を歩き回る音。

カーテンを開けるような音もする。



「リリィ・・・なの?・・どうしたの・・・」



呼びかけても返事がない。

寝ぼけながらも寝返りをうてば、柔らかな壁のようなモノに額がこつんと当たった。




――――ぇ・・?

この感触には覚えがある・・・。


でも、おかしいわ。

どうしてここにいるの。



薄目を開けてもぞもぞと上を見やれば、ぼんやりとした視界にサラサラの黒髪があった。



まさか、うそでしょう?

いつの間に来てくれたの?


というか、そうだわ。

ここは、あの小さなお屋敷なのかも。


ヘカテの夜に過ごした、あの場所。

いつもと違う感じがするのも、そのせいね、きっと。


ということは・・・。

もしかして今のもリリィじゃなくて、あの綺麗な女の方なのかも―――