片手を腰に当ててじろっと見下ろして、きっぱりと言うナーダにはとても逆らえない。

まだ若くて20歳くらいに見えるのに、なんだかとっても迫力がある。


――最初に怖いと感じたのも、この年齢に見合わない迫力のせいかしら・・・。

ラヴルにも意見が出来るくらいだから、余程しっかりしてて、信用されてるに違いないわ。



ユリアは一口食べて、意外にお腹が好いていたことに驚いていた。

お肉も柔らかくて美味しくて、どんどんフォークが進んでいく。

あっという間に平らげ、今度は海藻のサラダを片付けにかかった。

今日のサラダは何が入っているのか、全体にやたらと黒々としている。

コリコリと硬い歯触りに、ゆっくりと噛んで口に運んでいると、バタンと大きな音を立ててドアが開けられた。

驚いてフォークを落としそうになり、慌てて持ち直していると、ツバキの大きな声が聞こえてきた。



「ごめん、ユリア驚いたか?」


「・・・ツバキ」


「申し訳ありません!ユリア様、失礼します!」



大きな音に反応し、ギロッと睨むナーダの顔が見えたのか、はたまた静かに窘めるようなラヴルの声に反応したのか、さらに大きな声が部屋の中に響いた。

それと同時に、コツコツと大きな足音が部屋の中に響いている。


―――この大きな足音は―――

ドキンとしてそぅっと振り向くと、ラヴルが此方に近付いて来るのが見えた。




「ユリア、起きていたか。良かった、肉は全部食べられたようだな」



ホッとしたような声でそう言うと、当たり前のようにユリアの前に座った。

それ以降何も言わずに、静かに、ユリアが食べる様子を見ている。



「ぁ、あの、ラヴル。そんなに見られていると・・・あの・・・食べづらいです」



顔を上げたら目が合ってしまい、恥ずかしくてパッと俯いた。

自分の頬がみるみる染まっていくのが分かる。

サラダを差すフォークが震えてしまう。



そんなユリアを見て、ラヴルはにっこりと笑った。



「昨夜言っただろう?ユリアは私のモノだと。こうして見ているのも、何をするのも私の自由だ」